緩和ケアへの思い

医療法人社団卓心会は、クリニックとして開業して25年、訪問診療は20年近くの歴史があります。

訪問診療開始当初より、多くのがん末期患者さん、慢性疾患末期の患者さんの「在宅での緩和ケア」に取り組んでまいりました。

現在も日々、法人の総力をあげて、“人生の最終段階の患者さんたちが、住み慣れたご自宅で大切なご家族と過ごすためのお手伝い”をさせていただいております。

私自身、医師3年目の頃に、当時57歳の母をがんのため亡くしています。
長きに渡る抗がん剤治療を経て、最後の看取りのときは自分が主治医を務めました。

医師という立場でありながら、自分の家族がいざ病気になってみると、冷静でいることは難しく、どうなってしまうのだろうかと不安にかられる毎日でした。

母の表情の一つ一つに、自分も一喜一憂する毎日。
気丈な母はがんになっても病気に負けまいと最期まで戦い抜きましたが、最後の時は予想外の瞬間に訪れ、目の前であっという間に息を引き取りました。

当時、主治医としてだけでなく、「家族の立場でがん患者さんに関わることの辛さや、自分の無力さに直面したこと」は、その後の自身の医師人生に大きな示唆を与えてくれました。

患者さんが、“病気とともにあっても自分らしく過ごせるために何が必要なのか”、“迫りくる死を前に何を成したいのか”をともに考えられるように、意思決定支援における関わり方、緩和ケアのあり方について考えを深めてまいりました。

医師として家族として関わらせてくれた母に恥じぬよう、これからもみなさまに寄り添える緩和ケアを提供してまいります。

 

当院で提供できるご自宅での緩和ケア

当院で提供できるご自宅での緩和ケアをご紹介します。

 

医療用麻薬(オピオイド)の調整

1)内服薬・貼布薬での疼痛管理

オピオイドについては、どの薬剤にも対応可能です。

※当院では一定の資格を持った医師のみ処方できるメサドン(メサペイン○R)も積極的に導入しています。骨転移や神経痛の強い患者様に有効な場合がございます。

 

2)注射薬(ポンプを使った持続注射含む)での管理

飲み薬で対応できない急な痛みが出たときに、ご自宅で始めることも可能です。

医療用麻薬(オピオイド)

 

腹水や胸水の穿刺排液(せんしはいえき)

ご自宅でエコーを用いて、安全に体の中にたまった液体を排液します。

腹水や胸水の穿刺排液

中心静脈栄養・経管栄養

口から食事がとれなくなったときに栄養をとるための手段です。
点滴の管や経鼻胃管を経由した栄養投与になりますが、在宅でも管理が可能です。(中心静脈用のカテーテルは、病院などで留置をお願いしております)

 

酸素投与

呼吸器系の病気や心不全の患者さん、肺炎を併発した場合に酸素の数値が低下してしまうことがあります。酸素が不足して苦しいときに、ご自宅に酸素の濃縮器をセットして、酸素を吸入できるようにします。

 

吸引器

呼吸器疾患の患者さんや人工呼吸器をしようしている患者さん、体が弱って自力で痰をだせなくなった患者さんは痰を定期的に吸引してさしあげる必要があります。
吸引器を設置してご自宅で吸引処置を行うことが可能です。

 

輸血

血液の病気の方への輸血を行う場合があります。

出血による貧血に対しては当院では輸血は行っていませんが、血液を作ることのできない病気の方へ、緩和ケアとしての輸血を行うことがあります(病状に応じて全例に行うわけではありません)。

 

ホスピスとの連携

介護的な側面から、病気の状態によってはご自宅で看ていくことが難しい場合があります。
また、弱っていく家族を身近で支え続けていく中で、介護者の精神的負担も大きくなっていく場合もあります。

各種在宅サービスをご案内しながら、可能な限り自宅での療養を支援してまいりますが、ご自宅での療養が立ち行かなくなる場合にはホスピスへの入院をご案内します。

< 連携先ホスピス > ・多摩南部地域病院 ・野村病院 ・聖ヶ丘病院 ・桜町病院 ・越川病院 ・東京病院 ・みなみ野病院

※事前エントリーが必要なため、エントリーされていない方は当方から手配いたします。

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