少し前のこと。
私たちの働くスペースに、乾燥した小さな鉢がやってきました。
「これ、枯れてる?」「生きてる?」「咲くの?」と 通りすがりの看護師たちが目にとめます。
そう言いたくなるくらい茎は、枯れ枝のようでシワシワ。
一体どんな花が咲くやら。
名も知らず、わかるのは「蘭だそうだ」ということだけ。
ところがです。
ある日めきめきと変化を遂げ、真っ白なお花が咲いたのです!!!
それはそれは見事な純白の蘭でした。
分刻みで忙しく働くスタッフ達は驚き、足を止め、とても上品で温かみのある白に、ほんのひと時、ほっこり和んでいます。
(よもやこんなに美しい姿になるとは…)
生き物の力、したたかさに敬意の念を抱きます。
うまく言えませんが、ご遺族にお会いすると 同じような気持ちになることがあるのです。
ご遺族になると自分の体から大切な人がもぎ取られ、心も体も本当にエネルギーを失います。
いつまで頑張ればこの苦しみが終わるのだろうと悩み、揺らぎながらも頑張ってきた時を経て、変容を感じている瞬間。
それはそれは こころから湧き上がる美しさや誇らしさ。
何とも言えない素敵な表情に出逢えます。
ひとの力に敬意の念を抱っきぱなしの担当者なのでした。
ではまた お会いしましょう。
訪問看護ステーションいきいき