訪問看護をご利用になり、住み慣れた家から大切な人が旅立ったあと。
共に頑張っておられた奥様にご挨拶に伺った時のお話です。
『大切な存在を失うことへの覚悟は出来ていた。
お看取りまでの経過や連絡の仕方も
訪問診療の先生や看護師さんから教えてもらっていたのでわかっていた。
その時が来た時も、ちゃんと動けた。
でも。。。
死別がこんなに苦しくて辛いということを
誰も教えてくれなかった。』
と大粒の涙を流していらっしゃいました。
伴侶や親密な家族の死などは、国に関係なくストレス尺度が極めて高い傾向にあります。
実際、多くの方が自身の想像をはるかに超える体験に打ちのめされ「こんなに辛いものだとは…」と仰るのです。
精神・心理学の祖と言われる精神科医ジークムント・フロイト博士は
【心理的距離が深ければ深いほど、その悲嘆は大きくなる】と提唱しました。
フロイトさん↓
これは現代に至っても変わらぬことであり
私達がご家族をサポートする時に大切にしている視点です。
言い換えると
『これだけ辛いということは、それだけ自分にとって大切な存在なのですね。
人生において、他にはない大きな体験なのだ』
ということなのです。
「少しの不都合なんて、死別に比べたら気にもならない」
「これを超える体験はない!」
という声を多く伺います。
これからもどれだけ大切な存在を喪い、今どんな体験をしているのか。
どんな気持ちでいるのか。
じっくり耳を傾けたいと思います。
ではまた会いましょう。
訪問看護ステーションいきいき