2025年11月号 ほしぞら便り:悲しむ権利がある

  • ほしぞら便り☆彡

今でも鮮明に覚えている出来事です。


大切な人が亡くなり、
もう間もなくお通夜が始まる頃
声をかけられ振り向くと、一人の女性が立っていました。


(知らない方だ、故人の知人かな…)と思っていたら


突然、彼女が私の両手をガッと取り、私の胸にドン!とあて
「あなたの大切な人はここにいる!!!」と叫びました。


 
「ねっ…! ねっっっ!!」 と声を絞り
涙を浮かべて私の手を強く握りました。


私は現実感もなくショック状態だったので
「そうなんですか。。。ここにいる、そう思ってみます。」と
他人事で答えていました。


その後どうなったかというと……。


「大切な人は心に居る。。。」と暮らしていても、
「ホントに居る?」に代わり
結局は、「どこにも居ないじゃないかーーーー!」
と死別に向き合う日々が始まりました。


今なら、昔の自分にこう言うでしょう。


「心に居るって他人が与えてきた答えだもの、自分には効かないよ」
「自分で思えるようになるには、順番があるんだよ」 
「大切な人の死を受け入れてないのに、心の痛みを表現出来てないのに、
そんなにすぐ答え(意味づけ)なんか出ないよ」


こちらをご覧ください。


折り合いをつけるためには、いくつかの要素を体験するようになっているのです。


受け入れがたい現実に向き合い、思い出し、安心で安全なサポートを受け入れ、
心の痛み・愛情を表現しながら徐々に気持ちが整理されていくのです。


これを通してやっと、大切な人が自分の人生にどんな意味をもたらしたのか、
これからもどんな存在なのか。「自分がこうだと思う答え」を定めていくのです。


「時が薬にならない理由」がここに在りそうですよね。


誰かのサポートを受け入れ、心の痛みを表現するなんて、まさにグリーフサポートです。


さて、最後に。 昔の自分に、これも言いたい!!


「本当に居ないのだと死別の現実を認識する時間も、心の痛みを感じる時間も折り合いへ向けたスタートをきっているんだよ。しんどいね。でも、悲しむ時間も大切な自分の権利だよ。それでいいんだよ。未来の私は、悲しみも死別もとても大事にして元気に生きているよ。安心してね。」


それでは、また。



訪問看護ステーションいきいき

ほしぞら便り☆彡
PAGE TOP